評価:★★★ 3
日本を代表する悪女の一人、ナオミ。そういえば昔、読書感想文でこの本を選んで、ナオミのような女になりたいという内容のことを書いて先生に怒られていた女の子がいたようないなかったような。男としてはナオミのような女に騙されたくはないなあと思いつつも、それが幸せならいいじゃんとも思う。ほら、片思いが一番幸せっていう感じと似てるかもしれないけれど。
読んでいて最初の方は興奮して、中盤から一気に腹が立ってきて、最後にはこの男の気持ちが理解できてしまう自分にちょっとイライラする、そんなお話。男の理性なんて、女の魔力にかかればなんてことはないのね、とちょっとセンチメンタルになったりもする。
読者からすると、この男はバカだなあ、と感じるかもしれないけれど、しかしこの男にとってはナオミがすべてなのです。僕らにだってきっとそういう恋をする時がくるかもしれません。したかもしれません。片思い、恋は盲目。当事者にしか分からないものだらけだろうし、そういうものを書いたっていうのは僕は素晴らしいと思う。