評価:★★★★☆ 4.5
初太宰でした。あまりに衝撃的。冒頭からなんだか滲み出る、凄み。
“そうして私の胸の中に住む蝮みたいにごろごろして醜い蛇が、この悲しみが深くて美しい美しい母蛇を、いつか、食い殺してしまうのではなかろうかと、なぜだか、なぜだか、そんな気がした。”
圧倒的。こんな凄みのある文章、素敵すぎる。こんなの書くなら、自殺しちゃったのも頷けるとさえ思う。
『斜陽日記』を参考にして書いたという前半部は、凄絶さと哀しみがじわりじわりと染み出てくるようで、ほんとうに好き。後半はなんだか過激というか、静けさがない分、逆に鋭さを感じなかった部分もある。
でもまあ、読むべき作品であることは間違いない。