評価:★★★ 3
ミステリといえばやっぱり怪しげな館がでてこなくちゃ、と言うわけで、六つの奇妙な館で起こる事件を火村と有栖のコンビが解決していくというお話です。
奇妙な館、とは言っても、嵐やなんかでそこに閉じ込められて怪しげな主人がいて美少女がいて密室で……みたいないかにもミステリな展開はないです。というか有栖川有栖ってあんまりそういう作品を書かないイメージがあります(綾辻と違って)。有栖川有栖の書く館でのクローズトサークル作品も読んでみたいんですけど、本作はいつも通りの有栖川っぽい作品となっています。
いつもいつも古典的な本格ものという作風で、めちゃくちゃ吃驚するような衝撃的な結末なんかは無いんですが本当にアイデアが豊富だとつくづく感心します。今回もバラエティに富んだ内容で、どの事件も「館」がキーワードになっているんですが、それ以外は導入から展開からトリックから何もかもがバラバラです。ほんと引き出しが多いです。せっかく館が舞台なんだから一つくらいはクローズドサークルものを入れてくれてもよかったんじゃないかな、と思いましたけど、あえてそれをせずにタイプの違う六つの事件を用意しちゃうところが、なんていうか凄いです。